キミの涙は
大きな瞳から
溢れて

ぽろり
ぽろりと

こぼれ落ちる

頬を伝う
雫を

拭うのは
私の左手の指

その涙を
止める呪文を

知っているのに

唱える事が
出来ない
私を追いかける
影を見つけた

捕まえようとすると
するりと腕をすり抜け

何処かへ行ってしまう

私は追いかけることも無く
ただ見つめるだけ

事の成り行きを
ただ静かに
雲ひとつ無い
抜けるような
青空が
落ちてきて

世界が
破滅してしまうような
事があったとしても

キミと私が
もう一度
出逢う事は
無いのかもしれない

キミが悪い訳じゃない

私は
罰を受けるべき
人間

償い切れる
筈も無い
穏やかな


穏やかな
空気

穏やかな
日常

穏やかな


穏やかな
幸せ

穏やかな
眠り

すべては
無に向かって
私が新しく見つけた
興味の対象は
キミと
同じ匂いがする

違うのは
後ろ向きと
前向きと

それだけ

だから
のめり込めない
旅の途中で
キミを思い出す

そこには
キミの
影が
ある訳でもなく

キミの
匂いが
残っている訳でもない

唯一
私の視線が止まるのは

キミが私に
残した

翼の折れた
天使が
私のところに来たのは
とても暑い
秋の日の午後

私はその翼を
治してあげたかった

ただそれだけだった
それなのに

治った翼で
くるくると
楽しそうに
飛ぶキミ

私は翼を
もぎ取ってしまった

この翼は
もう要らないよ

ずきずきと
痛む
傷口から
新しい翼が生えてくる

もっと大きな
折れない翼が
突然の雨
軒先を借りて雨宿り

空を見上げる
止みそうもない空

後ろを見ると
幸せそうな人たち

いつの間にか
そこに混じっていた
キミ

もう戻れない
進めない
透き通るように
白いカップ

中には大好きな
紅茶

淵までいっぱい
動かない水面

私はそこに
シロップを注ぐ

広がる波紋
あふれ落ちる紅茶

そこには受け止める
皿など無かった
ブレーキの無い車
キミは
アクセルを緩めたり
踏み込んだり

一緒に乗っている私は
後部座席の
端っこで
降りる機会を
覗っている

キミは
隣においで

笑う

天高く馬肥ゆる秋

2003年10月2日
気が付けば
空は
どうあがいても
手が届かないほど
高くなって

秋が来たことを
嫌でも解らせる

キミと再会した
秋が
また来た
キミへの距離は
近くて
遠い

今更ずっと遠くに行っても
何も変わらないよ

キミが
前よりもっと
寂しくなるだけで

何も知らないキミを
酔わせた私

甘美な酒

味を覚えたキミは

もっと

せがむ

でも
キミには
もうあげないよ

常と
狂気の
境目に居
るキミは

まだ大丈夫

先のこと
はわか
らな

キミの
うすっぺらい
胸板に
イダク物は

欲望
悲しみ
希望
挫折
喜び
痛み




電氣仕掛けの肉声

2003年9月27日
キミの気まぐれ
私に声をくれた

耳元に届くその声は
冷たく静まった
湖をざわつかせ

黒い雷雲を呼ぶ

雷に打たれた私は
思い出す

遠い記憶

長い
長い鎖の付いた
赤い首輪

鎖の先は
私の元に

いつもは杭に
縛りつけ

忘れた頃に
引っ張って
居なくなっていないか
確認する。

逃げられない
逃がさない

それでもキミは
幸せかもしれないよね
ちょっとひねくれた
淡い色のキミ
私の色に染まる

部屋で一人で
膝を抱えて

月を見上げて居るのかしら

今宵のキミは
ずるい私の
涙に染まって

悲しい色になっているのかしら
幾ら待っても
その時は来ない

わかっているのに
わからないふり

道に迷った
私たちは

元来た所に
戻れるのか

道の先は闇ばかり

カメラ小僧

2003年9月23日
私を其処に閉じ込めて
どうするつもり?

私は変わるのに

古くなる前に
大事にとっておくの?

キミは思い出に
とらわれて
生きていくの

悲しい思い出に

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